Museum of Niigata Univ. Phys. & Eng.
「旧制学校時代の物理実験器具」の特徴
新潟大学に現存する旧制学校時代から物理実験器具の資料点数は約270点を数える。
「旧制新潟高等学校の物理関係の資料 約100点」,「旧制長岡高等工業の物理関係の資料 約170点」である。
保存点数や保管状態からみた場合,新潟大学が保管する資料は旧制三高や旧制四高の資料を受け継ぐ京都大学や金沢大学の資料と比べても遜色がないと思われる。
特に,旧制三高の資料は 1.保存点数が多いこと,2.歴史が古いこと,3.関連資料が豊富であること,から日本でも屈指の資料として広く知られている。それらは第三高等学校の歴史を物語るとともに,日本の近代科学史を明らかにする貴重な歴史資料である。
新潟大学が保管する資料は,京都大学の「旧制三高」のそれには遠く及ばないが,「旧制新潟高等学校と旧制長岡高等工業の両学校の間で類似・共通する物品が極めて少ない」ということから,旧制の高等学校の物理教育の理念と旧制の高等工業学校の理念に差異があったことを想定させるものである。こうした観点から資料を見直した場合,旧制の高等工業学校に関する資料は全国的にも少なく,また,現存する実験器具を通して,同時代に創設された旧制学校の教育理念を比較検証を行う上で,保存状態と資料点数からも貴重な資料群と思われる。
(S.Harada)