熱力学温度の単位「ケルビン」は,水の三重点の熱力学温度の1/273.16とするものである。
ところが,この熱力学温度は測定が難しいため,実用的な温度測定法の国際的な取り決めがある。この温度目盛の使用は1927年のITS-27(International Temperature Scale of 1927)から始められ,幾つかの温度の定義定点,定点間の補間温度計,補間法の組合せで構成される。その後,温度目盛に何回かの改訂が行われ,現在は1990年国際温度目盛(ITS-90)が使用されている。
ケルビン温度が「K」であり,「°K」としない訳:
例えば,Celsiusによる温度目盛は「氷点を0℃,水の沸点を100℃としてその間を等分する」ものである。この定義には定点が2点ある。しかしながら,現在では温度のもつ物理的な意味が「測定系の単位粒子あたりの平均エネルギー」として理解できるようになり,「熱力学温度 K」では,ただ1点の定点で与えればよいことが分かってきた。すなわち,温度を定義するのに「2つの定点」を必要としないことから「度合」の意味である「°」をつける必要が無くなった。また,この温度の概念を従来の「温度」と区別して「熱力学温度」という。