(S.Harada)
参考文献:「単位の辞典」小泉袈裟勝,1965,ラテイス
Museum of Niigata Univ. Phys. & Eng.

時間の測定

物理学(1)p.18の解説図 (解説図が縮小されています。マウスを画面の右下に置くと画面サイズの記号が出ます。)

時間の単位:
メートル法における「時間」の単位は秒(sec)である。ここでは時間の定義の歴史とその考え方をまとめた。

1960年までの歴史: 時間の定義は,長い間,天文観測を基準として定義され,時間の単位である「秒は地球の自転」による定義が用いられた。これは「平均太陽日」として定義され1秒はその86400分の1とされた。しかしながら,地球の自転には季節変動や経度変動などの微細なよろめきが見いだされ,1956年には「地球の公転」に基づく定義に変更された。この「歴表時(れきひょうじ)」の定義の正確さを保証するには,長い年限にわたる精密な天体観測を必要とされる。

1967年:第13回国際度量衡総会(CGPM)において,高精度が出せる原子周波数標準が検討され,セシウム原子に基づく秒の定義が採択された。

すなわち,「秒」は133Cs原子の基底状態の2つの超微細準位(F=4,M=0および F=3,M=0)の間の遷移に対応する放射の9,192,631,770周期の継続時間と定義されている。
この放射電磁波は9.192GHzの振動数のマイクロ波である。なお,中途半端な数値の周期になっているが,これはこれまでの時間の定義と合わせるためである。

(S.Harada)
参考文献:「単位の辞典」小泉袈裟勝,1965,ラテイス