1795年: 長さの新しい単位としてメートルが,「パリを通過する北極から赤道までの子午線の長さの107分の1と定義する」法律が公布された。
1799年: 実測した子午線の長さに基づいてメートルを現示する純白金製の標準器が指定された。この標準器は保管場所の名をとってMetre des Archives(メートル・デ・ザルシーブ)と呼ばれた。
1872年: 国際メートル委員会で国際メートル原器30本が作られた。
1889年: 第1回国際度量衡総会において,「0℃においてその長さが1 Metre des Archivesに最も近い1本が国際メートル原器」に指定された。この原器は白金90重量%,イリジウム10重量%の合金で作られた。しかしながら,この人工の原器の精度に対して目盛り線の鮮明度,金属の再結晶,熱膨張係数の測定精度などの物理的な限界が採用当初から指摘され,スペクトル線の波長に基づく定義の方向が考えられた。
1960年: 第11回総会で,「メートルはクリプトン86(86Kr)原子の準位2p10と5d5との間での遷移に対応する光波の真空中における波長の1650763.73倍に等しい長さ」と定義された。
1983年: 第17回総会で,「メートルは1秒の299,792,458分の1の時間に光が真空中を伝わる行程の長さとする」と改訂された。レーザ技術の発展により波長が百億分以上の安定した精度が得られるようになり,再現性の悪いKrランプを基準とすることの不合理性が改められた。さらに,「真空中の光の速さ」を基にすることで普遍性が得られていた。
2019年:2018年の第26回国際度量衡総会においてもメートルの定義は実質的には変更されていない。真空中の光速を299 792 458 m/sとし, 光が真空中で299,792,458分の1の時間に伝わる長さと定義されている。ここで,秒(s)は 133Cs原子の摂動を受けない基底状態の超微細構造準位間の遷移周波数ΔνCsを9 192 631 770 Hzとすることから定義される。
参考文献: